Intra-arterial Injection Therapy
動注治療(モヤモヤ血管)

Therapy tame
長引く手や指の痛み
「モヤモヤ血管」へ働きかける治療
お薬や湿布、装具、リハビリテーションなどによる治療を続けても改善しにくい手指の痛み。その背景の一つとして、慢性的な炎症に伴って増える細かな新生血管、通称「モヤモヤ血管」が痛みに関係していると考えられています。
当院では、ヘバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症による長引く痛みを中心に、モヤモヤ血管へ働きかける「動注治療」を行っています。動注治療は、痛みのある手につながる動脈から薬剤を注入する自由診療です。すべての方に適する治療ではないため、痛みの原因を診断し、一般的な治療を行ったうえで適応を慎重に判断します。
このような症状はありませんか?
- 指の第一関節が赤く腫れて痛む、変形してきた
- 指の第二関節が痛くて曲げ伸ばしにくい
- 親指の付け根が痛み、瓶のふたを開ける、物をつまむなどの動作がつらい
- 更年期を迎えてから、手指のこわばりが続いている
- 痛み止めや湿布を使っても、痛みがなかなか取れない
- 手指の痛みで、家事や仕事、趣味に支障が出ている
このような症状は、手指の変形性関節症だけでなく、
関節リウマチなど別の病気によって起こることもあります。
自己判断せず、まずはご相談ください。
「モヤモヤ」血管とは?

関節や腱に炎症が起こると、傷んだ組織を修復する過程で、新しい細かな血管がつくられます。通常は炎症が治まるとこれらの血管も減りますが、炎症が長引くと、不規則な新生血管が残ることがあります。
造影検査でモヤモヤとかすんだように見えることから、一般向けに「モヤモヤ血管」と呼ばれています。医学的には、慢性炎症に伴う異常な新生血管です。
慢性炎症が続く組織では、新生血管の周囲に痛みを感じる神経線維も増えることがあり、長引く痛みに関係していると考えられています。
動注治療とは?

動注治療は、痛みのある手につながる動脈から薬剤を注入し、慢性炎症に伴う微細な新生血管への血流を一時的に抑えることで、痛みの軽減を目指す治療です。
使用する薬剤は「イミペネム・シラスタチン」です。この薬剤は、本来は感染症の治療に用いられる抗菌薬ですが、水に溶けにくい性質を利用し、微細な粒子を一時的な塞栓物質として使用します。
出典:Inui S, Okuno Y et al. JVIR(2021)
動注治療の位置づけ
手指の変形性関節症では、症状や病状に応じて、次のような一般的な治療を先に検討します。
- 外用薬や内服薬(抗炎症薬や漢方薬)
- テーピング、装具、サポーター
- 運動器リハビリテーション
- 症状に応じた注射治療
これらの治療を行っても痛みが長く続き、日常生活への支障が大きい場合に、選択肢の一つとして動注治療をご提案します。
動注治療ができる疾患
当院で行う動注治療は、カテーテルを使わず、細い針で直接動脈に注射する方法です。そのため、対象は手・指・肘・足などに限られます。
疾患例
- へバーデン結節
- ブシャール結節
- 母指CM関節症
- ドケルバン腱鞘炎
- テニス肘・ゴルフ肘(肘の痛み)
- 足底腱膜炎など、足の痛み
治療によって期待できること・できないこと
動注治療は、慢性炎症に関連する血流へ働きかけ、痛みやこわばり、腫れの軽減、手指の使いやすさの改善を目指す治療です。
一方で、次の点をご理解いただく必要があります。
- 効果の現れ方や持続期間には個人差があります
- すべての方に効果が得られるわけではありません
- すでに生じている関節の変形を元に戻す治療ではありません
- 失われた軟骨を再生させる治療ではありません
- 将来の変形や病気の進行を確実に防ぐ治療ではありません
治療を受けられない、または慎重な判断が必要な方
次のような方は、治療を受けられない場合や、慎重な判断が必要になる場合があります。
- イミペネム・シラスタチンや抗菌薬でアレルギーを起こしたことがある方
- 重い薬剤アレルギーの既往がある方
- 重い腎機能障害などの持病がある方
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方
持病やアレルギー、服用中のお薬について、診察時にお知らせください。
治療について
治療当日の流れ
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Step01
エコー(超音波)で動脈を確認し、消毒をします。
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Step02
エコーで確認しながら、細い注射針を動脈に入れ、お薬を注入します。手や指に一時的な熱さ、しびれ、ジーンとする感覚が生じることがあります。
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Step03
針を抜いたあと、5分ほど注射した場所を押さえて圧迫します。手指の血流や体調に問題がないことを確認してから、ご帰宅いただきます。

処置そのものは15分間程度で短時間ですが、準備や治療後の確認を含めた時間については、当日の状態によって異なります。
治療回数と経過
痛みの変化は徐々に現れることが多く、治療後、数週間かけて経過を確認します。
症状に応じて、4~8週間程度の間隔を空け、2回程度の治療を検討することがあります。ただし、必要な回数は病状や治療後の経過によって異なります。効果が十分でない場合には、治療を繰り返さず、ほかの方法を検討することもあります。
治療後の注意点
治療当日は、医師の指示に従ってお過ごしください。多くの場合、軽い日常生活動作は可能ですが、治療した手で重い物を持つことや、強く握る作業、激しい運動などは控えていただくことがあります。
注射部位の内出血が広がる、息苦しさ、じんましんなどのアレルギー症状が現れた際は速やかに当院へご連絡ください。
主なリスク・副作用
- 針を刺すときの痛み
- 薬剤注入時の一時的な熱感、痛み、しびれ
- 出血、皮下出血、血腫
- 薬剤によるアレルギー反応
- 手指への血流低下、皮膚の色調変化
重い合併症はまれと報告されていますが、発生する可能性がないわけではありません。
費用
動注治療は保険適用されず自費診療となります。疾患や部位ごとに費用は異なります。
| 手の治療(1回) | 25,000円(税込) |
|---|---|
| 肘の治療(1回) | 30,000円(税込) |
| 足の治療(1回) | 30,000円(税込) |
当院では、主に手指の痛みに対して治療を行っています。肘や足の治療については、診察のうえで適応を判断します。
未承認医薬品の適応外使用について
本治療で使用するイミペネム・シラスタチンは、感染症の治療に用いる抗菌薬として日本国内で承認されています。
一方、慢性的な痛みの治療を目的として動脈内に注入し、一時的な塞栓物質として使用する方法については、日本国内で承認されていません。本治療は、承認された効能・効果および使用方法とは異なる「適応外使用」にあたります。当院では、日本国内の医薬品卸を通じて正規に流通している国内承認薬を入手し、医師の責任のもとで使用します。
同じ目的・投与方法で国内承認を受けた医薬品はありません。諸外国を含めて研究報告はありますが、長期的な有効性・安全性に関する情報は十分ではなく、標準治療として確立した治療ではありません。
適応外使用によって健康被害が生じた場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象とならない可能性があります。治療を受けるかどうかは、一般的な治療やほかの選択肢についても説明を受け、十分にご検討ください。
よくある質問
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関節リウマチかどうか分かりませんが、受診できますか?
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はい。手指の腫れやこわばりは、ヘバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症だけでなく、関節リウマチでも起こります。
当院では、リウマチ専門医が診察し、必要に応じて血液検査や画像検査を行います。関節リウマチと診断した場合は、動注治療ではなく、関節リウマチに対する薬物治療を優先する場合があります。 -
膝や肩の痛みにも動注治療を受けられますか?
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モヤモヤ血管に対する治療は、ほかの部位にも応用されていますが、当院では手・指・肘・足を対象に行っています。膝関節の痛みについては、再生医療(APS療法)や膝のラジオ波治療など、別の治療をご提案いたします。
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更年期の症状か、手指の変形性関節症か分かりませんが受診して良いですか?
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はい、ご相談ください。更年期の時期には、女性ホルモンの変化に伴って手指の痛みやこわばりや痛みが現れることがあります。変形性関節症、関節リウマチ、腱鞘炎、手根管症候群などでも似た症状が起こります。まずはご相談ください。
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治療を受ければ、指の変形は元に戻りますか?
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すでに起きている関節の変形を元に戻すことはできません。動注治療は、長引く痛みやこわばり、腫れの軽減を目指す治療です。
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治療は痛いですか?
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細い針を使うため、一般的な注射と同じ程度の痛みです。薬剤を注入する際に、指先などに一時的に熱く感じたり、ジーンとした感覚が出たりすることがあります。
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治療の当日から、手を使ってもよいですか?
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日常生活の範囲であれば、多くの場合問題ありません。注意点は治療後にお伝えします。
長引く手指の痛みでお困りの方へ
手指の痛みには、変形性関節症、関節リウマチ、腱鞘炎、神経障害など、さまざまな原因があります。動注治療を受けるかどうかを決める前に、まずは痛みの原因を正しく診断することが大切です。
当院では、一般的な治療も含めて選択肢をご説明し、一人ひとりの病状や生活、ご希望に合った治療を一緒に検討します。