変形性膝関節症に対する再生医療

再生医療

『再生する力をもった細胞』を使って、失った機能を取り戻す医療

ロコモティブシンドロームとは?トカゲのしっぽは切り離されてもまた元通りになりますね。トカゲほどではありませんが、人間にも、もともと『再生する力』があります。
再生医療とは、ケガや病気などによって失ってしまった機能を、いわゆる“化合物”である薬で治療するのではなく、人の身体が本来持っている『再生する力』を利用して治療する、自然治癒力を促進して機能を戻す医療のことです。

整形外科における再生医療「PRP療法」

手や足を切ってしまうと、血が出ますが、やがてかさぶたになって治ります。この『再生』には、血液の中に含まれる血小板が重要な役割を果たしています。血小板から傷んだ組織の修復を促進する物質(成長因子)が出て、傷んだ組織を元通りに直そうとする自然治癒機転が働いています。
PRP (Platelet Rich Plasma 多血小板血漿)療法とは、血小板の成長因子が持つ組織修復能力を利用し、人の身体が本来持っている『再生する力』を高める再生医療です。
血小板が放出する成長因子には、細胞増殖や血管の形成などに役立つものが数種類あります。それらが損傷部位に直接働きかけて細胞増殖を促進し、修復機能を高め、通常よりも早く治る、症状が改善する効果をもたらします。



もともとは皮膚科で難治性皮膚潰瘍や褥瘡(床ずれ)、やけど、糖尿病の人の壊疽、歯科で歯槽骨や歯肉の再生促進に使われてきました。整形外科の分野でも、靭帯損傷や変形性関節症などの治療にこのPRP療法が進歩してきました。
スポーツ選手は、筋肉や靭帯損傷などのケガや使いすぎによる故障が選手生命を左右します。選手への負担が少なく、なおかつ損傷した組織の再生を促進し、治療スピードを速める方法として、PRP療法が考えられました。もともと治りにくい靭帯の損傷、治るはずの組織でも治りにくい悪循環になっている部分にPRPを投与することによって本来あった自然治癒機転を活性化し、ケガが治ることを期待しています。



ロコモティブシンドロームとは?変形性膝関節症による膝関節の炎症や痛み、アキレス腱炎、テニス肘などの慢性的な障害の治療にもPRP療法が使われ始めています。炎症や痛みなど症状の改善が期待されるからです。PRP療法は、こうした疾患に対して、従来からの処置である痛み止め薬の服用や、関節内へのヒアルロン酸やステロイド薬の注射などで効果が乏しい場合の、新しい治療法です。
海外では、2000年頃からサッカー選手やメジャーリーガー、プロゴルファーのケガの治療などにPRP療法が使われ始めました。日本でも数年遅れてスポーツによる肘靱帯損傷や肉離れ、変形性膝関節症による膝関節の痛みに対して、『ステロイド薬を使わない新しい治療法』として注目されています。



PRP療法は、世界的に効果が認められつつも、現在のところ保険診療としてはまだ認められておらず、自由診療で行われています。しかし2014年に施行された再生医療等の安全性確保等に関する法律によって規制され、再生医療を行うには厚生労働省に届け出が義務付けられています。
これ以上分化して別の組織になることがない血小板を培養することなくそのまま使うため、安全性の高い再生治療ですが、どの医療機関でもできるわけではありません。当院は所定の手続きを行い、長野県内では初めて認可を受けました。



ロコモティブシンドロームとは?PRP療法の治療の流れは、患者さま自身の血液を採血し、遠心分離機にかけ、血小板を多く含む多血小板血漿(PRP)を採り出し、患部に注射します。現在、PRP療法は調製法の違いで様々な種類があり、患部への投与の仕方も目視で行う方法や超音波画像で確認しながら行う方法など、医療機関によって異なります。当院では世界的に最も信頼のある医療機器を使用し、清潔環境で治療しております。また現在考えうる最も効果的で安全な方法を採用して、価格設定しています。



リスクに応じた再生医療等安全性確保法の手続き


PRP療法で改善促進が期待できる整形外科の治療分野
治療分野 治療の概要
脊椎固定術や骨折遷延治療における骨癒合促進 外科手術にて患部にPRPを使用
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、アキレス腱炎、筋損傷の治療 PRPを患部に注入する。数日~数週間安静にした後にリハビリテーション
肩腱板縫合術や前十字靭帯再建術に補助的に用い、治癒促進 外科手術にて患部、再建組織にPRPを使用
変形性膝関節症、半月板損傷の治療で損傷組織の治癒促進 PRPを患部に注入する。数日~数週間安静にした後にリハビリテーション

次世代PRPを用いたAPS療法

APS(Autologous Protein Solution 自己タンパク質溶液)は次世代PRPといわれています。APSは自分の血液からPRPを分離し、さらに特別な加工を加えることで、変形性膝関節症などの関節痛の治療に有効な抗炎症成分を高濃度に抽出しています。

APS療法は、膝関節内への投与によって、関節内の炎症バランスを整えて炎症・痛みを改善することにより、軟骨破壊の抑制を期待するものです。関節内で炎症を引き起こすタンパク質(IL-1やTFN-αなどの炎症性サイトカイン)の活動を阻害することで、炎症を抑え、痛みを軽減します。欧州での臨床試験では、中程度までの変形性膝関節症において1回の治療で最大24ヶ月間痛みと機能改善が継続したと報告されています。



ロコモティブシンドロームとは?2018年8月より国に届出が受理された医療機関で治療(自由診療)が受けられるようになりました。当院はPRP療法、APS療法ともに再生医療法に基づき所定の手続きを行い、長野県内では初めて認可を受けました。
変形性膝関節症による膝関節の痛みに対し、従来の治療を受けていても効果に乏しく、痛みがあって手術を受けるかどうか悩んでいらっしゃる患者さまのための新しい治療として考えています。APS療法によって手術が回避できればと期待しています。
比較的早い段階でも症状が強い場合に効果を期待します。膝関節痛には関節症それぞれの段階で、最も効果的な治療をすることで、より良くコントロールすることが可能です。膝関節痛を治して、健康寿命を延ばしましょう。

APS療法は今のところ安全性は確立された治療法ですが、有効性は研究の蓄積段階であるため、健康保険が使用できず自由診療となります。現在、膝関節のつらい痛みを抱えてなんとかしたい!と考えている患者さまにベストを尽くすべく、当院ではこの再生医療を開始しています。当院では世界的に最も信頼のある医療機器を使用し、清潔環境で治療しております。また現在考えうる最も効果的で安全な方法を採用して、価格設定しています。
内服薬や関節内注射による治療を受けていても痛みが良くならない方は、この再生医療が効果的な可能性があります。ぜひ当院へご相談ください!

治療の流れ

  • STEP1
    最初の診察では問診、レントゲン撮影、膝関節の具合を診察し、治療方法の選択、内容をご説明いたします。同意書をお渡しいたします。(保険診療)
  • STEP2
    次回の治療当日は、患者さまご自身から採血し、調整室で抽出し、患部(膝関節など)に注射します。およそ1時間程度で終了します。(自由診療)
  • STEP3
    治療後は1~3か月後から経過を診察いたします(保険診療)


当院で可能な再生医療
テニス肘、アキレス腱周囲炎などに対するPRP(多血小板血漿)療法

自分の血液中に含まれる血小板の成長因子が持つ組織修復能力を利用し、私たちに本来備わっている「治る力」を高め、治癒を目指す再生医療です。通常では治りにくい靭帯、腱の治療に使われます。

変形性膝関節症に対するAPS(⾃⼰タンパク質溶液)療法

PRPからさらに抗炎症物質と成⻑因⼦を濃縮した APSを抽出します。APSは抗炎症作⽤により関節内の炎症物質と抗炎症物質の不均衡を整えます。変形性膝関節症における炎症と痛みの改善と、軟骨破壊の抑制を期待するものです。